Taka at Trauma Center of Robert Wood Johnson Medical School University Hospital:New Jersey便り④

今朝は冷え込みが厳しく足元が冷えました。朝からACS(心臓の方です)とか交通外傷患者が搬送されてきました。米国のEMT(日本でいう救命士)は救急現場での医療行為(処置)の範囲が日本のそれよりもかなり広い範囲で行います。ほとんどの重症患者は末梢静脈路確保(ほとんどが18Gの太い針です)されており、CPAの場合は気管挿管されています。EMT(EMS)は静脈路確保や気管挿管など技術だけでなくSAMPLE聴取(既往歴や内服歴、アレルギーや食事の最終摂取時刻など)もうまく、こまかく聞いて初療医に報告します。こういう教育も是非持ち帰りたいと思います。

今朝驚いたのは救命の維持ができない患者対応のシステムです。残念ながらこれ以上救命が望めないと判断した場合、医師が患者家族にその事実を話します。面談室の外にはコーディネーターが待機しています。臓器提供を希望するかを尋ね、希望しない場合はその人に信仰している宗教があればその関係者を呼んで患者さんとご家族のケアをします。例えばキリスト教なら牧師さんが来られてベッドサイドでご家族とお祈りをします。日本ではそのケアは多くはナースになるのでしょうか?文化や背景の違いも勉強になります。

こちらに来て約10日ほどになり少しずついろいろなことに慣れていきました。

まず朝のカンファレンスの会話内容が、最初はバイタルサインを理解するのにやっとでしたが、主訴や現病歴や問題点、治療方針などがわかるようになりました。朝はいろんなスタッフが「Hi, TAKA! How are you?」と声をかけてくれるようになりました。

大きく変化があったのは食事の注文などほしいものがきちんと手に入るようになったということです。カフェテリアではサンドイッチなら使うパンの種類、それを焼くかどうか?などトッピングを聞かれます。はじめは何をいっているかわからないのでたじろぐばかりで、オーダー不要なバーガーばかり食べていましたが、今はトッピングができるようになりました。今日はサーモンのクリーム煮とチンゲン菜を茹でたものとライスをトッピングしました。 嬉しそうにしている僕を優しい眼差しでみんな見てくれています。写真は逆行ですがランチのときのものでDr LuizとDr Danielと一緒です。

午後はGeneral ICU(ここではMedical ICUといっていました)やCCUにいる患者さんの回診をしました。基本それぞれが広い個室となっています。院外CPA、心室細動に対するVAECMO(ECPR)は手技が煩雑なのと、費用のこともあり基本的にはやらないそうです。ここは日本がリードしていくべき分野だと思います。

今日は冷え込んだので院内で使用する上着を買いました。実はほしかったんだけどどうやって買っていいかわからず、ようやく手に入れることができました。

スタッフDrもいつもいつも不備がないか?満足しているか?他にみたいことややりたいことないか聞いてくれます。贅沢な時間を過ごさせてもらっています。

夜はAcute Care Surgeryのみんなが歓迎会をしてくれました。

Typical Friday after work

Rutgers-Robert Wood Johnson Medical School Wood Johnson Medical SchoolのTrauma Centerに臨床留学中の上田敬博副センター長の「Typical Friday after work 」の様子が、Family Medicine & Community HealthのKaren Lin先生から送られてきました。彼女いわく、「I think he has good time here.」です。Taka, Brotherと呼ばれてすっかり仲間として活躍しているようです。上田敬博先生のNJ便りをぜひ読んで下さい。

Taka at Trauma Center of Robert Wood Johnson Medical School University Hospital:New Jersey便り③

朝のカンファレンスはERとtrauma teamが合同でカンファをしてからtrauma team単独でカンファを行います。夜は40歳前半の狭心症で左冠動脈主幹部の狭窄(日本ではこの歳での主幹部狭窄は少ない)うっ血性心不全を伴った心筋梗塞や急性胆嚢炎などの内因性疾患や階段からの転落や交通外傷が搬送されていました。カンファ後は病棟からチームで一人ずつ回診していきます。

昼はカフェテリアでランチします。ここではなんとなくですが各科の座る場所がなんとなく決まっているようです。いまは一般外科から来ているDr Luiz(写真で一緒に写っている)と心臓血管外科から来ているDr Danielと他校から1か月研修に来ているmedical studentと行動を共にしています。Dr Luizは仕事熱心で、忙しいのに面倒をよく見てくれます。彼はブラジル生まれだそうでポルトガル語ももちろん堪能です。将来は血管外科医を目指しているそうです。また遅くまで患者さんを診て、初療にも積極的に参加して、手術の技能も優秀です。これは俺の仕事ではないとか、自分のDUTYではないという態度は全く見せません。日本に連れてかえりたいくらい優秀です。

ここには沢山の集中治療室があり迷っていまいます。日本でSCUという表示はStroke Care Unitといって脳卒中の集中治療室ですがここではSurgicalつまり外科の術後用の集中治療室だったりします。手術室やカテ室は1階にありA~E表記もあれば番号表記もあり、理解するまで時間がかかりそうです。Visiting Doctorとして来ていますがネームカードがMDとなっているためナースやスタッフが初療後はどこに移動させるの?術後はどの部屋に運ぶの?と聞いてこられるのでびっくりしてしまいます。外傷性血胸の開胸手術があり、そのあと初めてGun Shot Wound(銃創)の初療を経験しました。体に数発撃たれたものの、致命傷はなく、腰椎の棘突起が粉砕されて、弾は貫通していました。銃創は射入口(entranceGSW)にクリップとテープをはった状態でCT検査を行います。そうすると射創管と射出口の推定や目印になるからだそうです。こういうのは日本ではなかなか経験することができません。これからここで吸収できることを最大限吸収して日本に持ち帰ろうと思います。

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Taka at Trauma Center of Robert Wood Johnson Medical School University Hospital:New Jersey便り②

11月30日に米国はNewJersy州に到着し、RobertWoodJohnson医科大学病院のTrauma Teamで勉強させていただいています。NewJerseyはニューヨークの西側に位置し、NJ transitで40分くらい乗ればニューヨークに行くことができます。天気のいい日はアパートからマンハッタンの摩天楼が見えます。

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現在私はTrauma teamで勉強しています。ここはDepartment of ACS(Acute Care Surgery)の組織下にありますが独立している感じです。TTは名のごとく外傷だけを専門に診るチームで私はDr Peckのチームに配属となっています。Dr Peckは先日ジョージ先生がブログにアップしてくれた写真の私の左隣のイケメンDrでACSをマスターし全身管理もできる優秀なDrです。初日から手抜きなしではじまっており、朝は7時~10時のカンファレンスが始まります。外傷の内訳は交通外傷が多く、次に銃創(gun shot wound)といったところでしょうか。気管損傷の縦郭気腫患者や頸椎損傷の少年も入院しています。朝のラウンドではコーヒーを飲んだりドーナツを食べながらレジデントや若手医師(一般外科からの出向)らが受け持ち患者と新規入院患者の現況と治療方針についてプレゼンを行い、それについてDrPeckがsuggestionするといったもので当科の方式と似ています。みんなは私をTAKAと呼んでくれており、朝カンファ中でもDrPECKが「TAKA、君ならワロリーマイスの治療どうする?」と聞いてきたりするので、うかうかできず緊張の連続です。

朝カンファが終わると回診です。ラウンドはチームとリーダーナースとケアマネージャーと一緒に動きます(これは是非当科で取り入れたい!)。まず軽症もしくは落ち着いている病棟の患者さんからです。Tower flowerの9階がTrauma Teamの病棟です。ここではチーム全員が毎日一人ずつ必ず回診します。日本と違うのはここでも片手にコーヒーを持ちラウンドし、病室の前で移動式電子カルテの台の上に置いて病室に入るところがアメリカっぽいです。病棟回診後、処置を行い、昼食後にICUなどの重症患者をラウンドします。16時から17時に終わって、若手はこの後カルテ記載があります。もちろんこの間初療が来ると行かなくていけません。初療室は3部屋あります。初療室は当科の方が数倍広く、少し狭く感じます。医師は診察や処置だけを行い、CT検査などの搬送は他のスタッフが担当します。画像は自ら診た後に画像診断専門の医師に最終チェックをしてもらうのが流れです。処置はDr Peckの指示・指導下で行われるので上級医の負担はかなり大きいかもしれません。僕から見るとスクラムはがっちり組めています。

兵庫医科大学救命救急センターに入局した時にジョージ先生からRWJUHでの生活を聞かされてすごく興味を持ちました。はじめて一緒にRWJUHにいっときにジョージ先生から聞いていたNJでの生活が僕にも全くあてはまっていたのには驚きました。まずは独り言が多くなります。ある程度の会話はできると思っていたのに、みんな遠慮なく普通に話しかけられて答えられないことがあります。(きれいな英文法で英訳しようとしすぎてかえって口から言葉がでない)こんな時は帰ってから独り言が多くなります。また、聞き取れない自分、うまく表現できない自分、伝わらない自分がいるので、帰宅してドアを閉めたら無意識に「クソーッ!」といっている自分もいます。ジョージ先生が言っていたのと同じだと思ってしまいました。しかし、チームのメンバーはTAKAと気軽に呼んでくれ、チームの一員として認知してくれているのは非常に有難いです。ナースやコメディカルスタッフも優しく声かけてくれます。(院内で道が分からず通りがかりの白衣女性スタッフに尋ねて、日本から来たといったらCongraturationといわれました)

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この他にもいろいろ気付いたことはありますが、またレポートします。金曜日は家庭医学のDrLin先生が来るまでスーパーまで連れて行ってくれました。生活必需品や水など一人で持ち運べないものを買い込むことができたのですごく助かりました。Lin先生は朝と夕方にLINEできちんとすごせているか?ご飯食べれているか?聞いてくれるので心強いです。

私も留学生に対してはできるだけサポートしてこうと思いました。朝早いのですぐに記録できるかわかりませんがまたレポートしていきたいと思います。最後にジョージ先生と救命救急センタースタッフ全員に感謝いたします。(TAKA)

Taka at Trauma Center of Robert Wood Johnson Medical School University Hospital:New Jersey便り①

当科の上田敬博先生が、かつて私が3年間勤めていたRutgers-Robert Wood Johnson Medical School (RWJMS)University HospitalのDepartment of SurgeryのAcute Care Surgery部門に臨床留学しています。

アメリカからはこのブログにアップできないそうなので、彼からの報告を私が変わってアップいたします。

昨日、上田先生が配属されたTrauma Teamのメンバーの写真が送られてきました。左にいるDr. Peckはかなり優秀だそうです。上田先生はアメリカでの医療を見て日本の医療レベルを評価できているようです。

今後、幾つかのシリーズで上田先生からレポートがあると思いますので、順次アップしてゆきます。

アメリカのような先進国の医療を生で経験することは、今自分のいる位置を客観的に捉えるためにはとても有効です。興味ある先生は御連絡ください。

ところで、兵庫医大の学生とRWJMSの学生はstudent exchange programをもう数年間行ってきましたが、それを担当してくれているfamily medicineのKaren Lin先生が上田先生を買い物に連れて行ってくれているそうです。こういうサポートも助かります。

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兵庫医大救命救急センターのある日

大都市の阪神間では多くの病院があり、それぞれの得意な専門分野を活かして協調的に連携し、いい意味で住み分けでいます。兵庫医大救命救急センターは、重度外傷、acure care surgery, 熱傷、終章の内因性疾患など、いわゆる3次救急患者だけで年間1700件程度受け入れており、各専門診療科の協力のもとで、ER、手術、ICU管理を独立して行っています。

臓器別の専門医を目指すのもかっこいいですが、総合的に全身を診る医師を目指すことは医師の原点と思います。

総合”救急”診療医を目指したい方、経験してみたい方、いつでも当センターの門を叩いてください。

センター長&主任教授

小谷穣治

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アメリカの留学生

先の投稿に書いたように、我々はアメリカの大学病院と交換留学をしています。この夏には、Washington UniversityのKaraと、Robert Wood Johnson Medical SchoolのPengが3週間の研修に来ました。写真は、本学の学生を交えたHOME PARTYの様子です。

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Dr. Taka Ueda arrived at Rutgers-Robert Wood Johnson Medical School

上田敬博副センター長が、アメリカニュージャージー(NJ)州立Rutgers-Robert Wood Johnson Medical Schoolに到着しました。Trauma center, Department of Acute care surgery, 関連病院のNJ Burn Centerで研修します。NJ Burn Centerは全米一番の症例数です。New BrunswickというNJの中心都市にあり、マンハッタンまで電車で1時間位のところで、しかも物価はNew Yorkの半分以下、衣食住の税金はなし、しかもNew Yorkという大都市とアメリカらしい郊外を両方知ることができる、とてもいいロケーションです。

このRobert Wood Johnson Medical Schoolは、私が3年間勤めた大学病院であり、現在は兵庫医科大学と毎年学生の交換留学をしています。今後は兵庫医科大学救命救急センター&救急・災害医医学講座の医師の臨床留学を進めていきます。

海外で仕事をする機会をもつことは、医師として成長するにはとても役に立ちます。ご興味ある方は是非当科の門を叩いてください。お待ちしております。

主任教授&センター長

小谷穣治

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Central Chest Institute of ThailandでECMOの講演をしてきました

img_0881img_0830バンコクのCentral chest institute of Thailandの循環器内科・カテーテルチーム・CCUチームにお招きいただき、ECMO(人工心肺)の適応と管理方法について講演させてもらいました。Indication and management of ECMOと題し、約1時間にわたりELSOのガイドラインや日本の適応や管理をお話しさせていただきました。その後、ハンズオンセミナーとしてプライミング、カニューレ挿入のテクニックや接続での注意点やトラブルシューティングに対して指導させていただきました。国立循環器呼吸器病センターみたいなところでカテチームは年間2000例のPCIを行なっており、CTOや複雑病変も多く治療されているそうです。ECMOを使えることで更に多くの人が救われることを願います