投稿者: ジョージ先生

Taka at Trauma Center of Robert Wood Johnson Medical School University Hospital:New Jersey便り⑨

12月24日と25日はクリスマスでみんなそわそわしています。日本でいう正月みたいな感じですね。日常生活の紹介があまりなかったので、せっかくなので使えない(笑)でも使える医療英語と日常英語を少し紹介します。私たちが日常でごはん食べた?と相手に聞くときにわざわざあなたはごはん食べましたか?とはあまりいいませんよね。それと同じように英語も省略していることが多いです。例えば事故で搬送された患者さんに事故のこと覚えていますか?はDid(Do) you remember what happened?となりますが、実際ではRemember your happened?といっていることが多いです。これじゃまじめに英文法やっててもなかなか理解できないですよね。もちろん論文でこのような文章はだめでしょう。それから今日退院にしますか?ならDoes he discharge today?ですが、D/C today?と略していっています。こういうのはLuizやDanielらにwhat does it mean?としつこく聞くしかありません。CT検査が終わったときに技師さんが「終わりました。」といのはfinishedではなく「Done!」です。この辺も感覚で覚えていくしかないように思います。How are you?の返しはI’m fineですがDr. HannaはよくI am here(適切な和訳ならこのとおりさ)と返します。American Jokeですが意識障害の確認によくWho is president?と聞くのですが、時々next president?president-elect?ときいて患者さんがTrumpと答えると「意識障害ありかなあ?(笑)」なんていっています。現場の言葉を少しずつ感覚で身に着けています。

24日は珍しく相棒のHard WorkerのLuizが「a little tired today」と私に漏らしていました。チーフレジデントとしての重圧に私の面倒見てくれてるのもあるんですが、4か月の姪っ子さんが全身の発疹と熱(突発性発疹なのか?)でNYCのこども病院に入院したので気になるので仕事終わっていくといっていました。夕方は外傷がたて続いて、私もこれが終わったら帰るといっていたのに、連続で搬送されて「I cannot go home in this situation」といったらNight shiftのスタッフDr Lethlieが「Taka cannot go home!」と繰り返しながらめちゃくちゃ笑っていました。LuizやDanielは先に帰るよMerryXmass Have a good holidayといって帰っていきました。その時は、お疲れさんと日本語で返しました。

日曜日はジョージ先生とNYCで会えるので楽しみです。

Merry Christmas!

今日の写真はロックフェラーセンターのクリスマスツリーです。なんか癒されます。

Taka at Trauma Center of Robert Wood Johnson Medical School University Hospital:New Jersey便り⑧

No sleep last night!

朝のカンファレンスで私がそういうと、ACSやtrauma team(TT)のスタッフやレジデントは大爆笑となりました。

昨日、Night Shiftに入らせてもらいました。昨夜のACS:TTの上級医はDr HANNAでした。On call roomではTAKAは何を勉強しに来たのか?から始まりました。今週に閉創の手術の適応にagreeしたり、感染症のcheckについて提案していたのを知っているので、君は臨床は十分できるのではないか?といってました。もちろん、まだまだなんですが、ATLSをマスターし勉強すること。それから大切なのはPrimary SurveyやSecondary Serveyの次の手術や処置、根治術か姑息的手術なのかを何を根拠に考えるかがまだわかっていないというと、Dr HANNAはそこが大切なんだ、アメリカでも同じ。Secondary Surveyのあとの治療は人によって異なりそこが課題だといっていました。また、ショックを伴う肝損傷の出血はどうしてる?と聞かれ、ガーゼパッキングによるDamage Control Surgeryですと答えると。「その次どうするかが大切なんだ」といってJ traumaの肝損傷の文献を山のように私にプリントして熱く語ってくれました。Initialの処置のストラテジーを統一するのはアメリカは得意で、次の踏み込んだ治療はまだまだなんだよといっていました。因みに肝損傷はDCSの後は動脈損傷ならTAEを行い、壊死すればnecrosectomy、IVCの損傷は胃管などをもちいてバイパスをつくるしかないといってました。あえてゆっくり話しかけてくれるのですごく話しが盛り上がります。

そういってるとMVC(交通事故)による多発外傷が搬送されてきました。骨盤骨折Ⅱb open book fractureでショックバイタルでした。造影CTで骨盤内出血を示唆する所見がありました。ここでもDr HANNAはResponderならどうする?non-Responderならどうする?と質問してきます。コンセンサスは一致していました。そしてIVRを放射線科に依頼したのですが、この日のon callのIVR Drがレジデントからスタッフに上がったばかりのDrでレジデントには適応がないとかいろいろいっては来たがらないという始末。Dr HANNAが電話でATLSのプロトコルでIVRが第一選択なんだから直ぐにきて血管造影をしてくれといってようやく血管造影が始まりました。操作室でDr HANNAと一緒に血管造影を見ていました。内腸骨動脈の分枝からの血管損傷と出血を認めました。ここで何故かsuper selective embolismを選択しようとし、時間はかかるしなかなか塞栓できないしで、ガーゼパッキングも頭によぎりました。私がEmergencyなときの外傷による内腸骨動脈ならもっと中枢側で塞栓をしてはやく血行動態を安定させ時間をかけるべきでないのでは?というと「Exactly!But・・・・・Because he is young」といっていました。アメリカのレベルⅠtrauma centerでもこういうことがあるんだなと思いました。Dr HANNAは君のストラテジーは凄くいいといってくれました。そんなわけで、アメリカでも睡眠時間ゼロのnight shiftとなってしまいました。そして、そんなわけで今回は写真が撮れなかったので雪の積もっているRWJUH付近とmain Lobbyのクリスマスツリーを送ります。

Taka at Trauma Center of Robert Wood Johnson Medical School University Hospital:New Jersey便り⑦

NJ便り⑦

今週の上級医はDr HANNA(ハンナ)です。Dr HANNAは凄くおっとりした風貌ですが、消化器外科と外傷外科に対するストラテジーは完璧に頭に入っていて、次への処置や治療への移行がものすごく早い先生です。Stab Wound(刺創で)Abdominal Compartment SyndromeでNPWT(RWJUHではVACを使用しています)を使用している患者や大腿部のNPWT使用患者もデブリードマン術後48時間以上経過して感染徴候がないから明日手術室で創閉鎖をやろうといっていました。また、Dr HANNAは凄く私の意見を聞いてきます。What do you think in Japan?何度も聞いてきます。彼は丁寧な英語で話しかけてくれるのでdiscussionができやすいのでとても勉強になります。頸椎損傷で気管切開と胃瘻が必要な患者さんがいるのですが、麻酔科から熱があるのにやるの?といわれていました。トラウマチームのレジデントたちは肺炎もないし白血球やCRPも上昇していない、他の感染となるような所見はない、中枢性の熱ではないかといっていました。Dr HANNA先生が「TAKAはどう考える?気切や胃瘻をこのconditionでする?」と尋ねてきました。私はプロカルシトニン(PCT)が高値でなければ手術をするし、PCTを評価したらどうか?と答えました。Dr HANNAはレジデントの先生らに「TAKA suggests good idea!」早速PCTを測ってみようといっていました。治療方針を相談してくれたり聞いたりしてくれるのはチームの中に入れている感が実感できて嬉しいものです。

米国では1歳から44歳までの死亡原因の1位が外傷でその中で多いのが交通事故・転落・銃創など武器によるものとなっています。実際にtrauma centerにはMVC MVA Fall GunshotWoundが多いです。また日本と同様アメリカも核家族化が進み高齢者の屋内外での転落外傷がかなり多いです。これに加えCAD(冠動脈疾患)やCVA(脳卒中)の罹患率が高く多くの人が抗血小板薬を内服しているので、転落した後の頭蓋内出血や血胸、腸間膜出血が多いのが特徴です。今日も転落による右血胸がかなりたまった高齢男性が搬送されて、若手の先生らがERで胸腔ドレナージを入れていました。エコー下で行っていたのですが、ちょっと時間がかかってしまっていて遠目から見ていたら初療のナースが「TAKA、あなたがやったほうが絶対早いでしょ!あなたがやりなさいよ」といっていました。こういう風に思われていることも光栄なのかもしれませんね。

最後に今日は現場の写真がないのでRWJUHで麻酔科医として働いている唯一の日本人のDr Tanaka夫妻の写真をお見せします。彼は米国生まれで小学校が日本だったらしく、中学からカナダの中高で勉強してアイルランドの医大を出てRWJUHの麻酔科で働いているらしく、オペ室で知り合い、週末にNJで人気の小籠包のお店とアジアンフードマーケットに連れて行ってもらいました。少し割高だけど、赤いきつねやカレーや日本米やふりかけを購入しました。縁は大切ですね。

Taka at Trauma Center of Robert Wood Johnson Medical School University Hospital:New Jersey便り⑤

 

Trauma teamはDepartment of Acute Care Surgery(ACS)の中のユニットなのでACSのメンバーとはいつの間にか顔見知りとなり仲良くなります。またしょっちゅうope室に行くので、麻酔科やオペ室のナースRNに名前を覚えられ、想像以上に声をかけられるようになりました。私が日本語をいうと皆何故かよろこびます「OHAYOUGOZAIMASU」「KONNICHIWA」「SAYONARA」はみんな知っているようです。毎週水曜日は教育棟にあるhallでMortality & Mobility Conferenceを行います。若手の先生がプレゼンしてベテランドクターが次々と質問やcommentしてきます。ただ、怒鳴ったり恫喝する人は一人もいません。Gentleな雰囲気でdiscussionが行われます。

こちらの独特な言い方にも慣れてきました。「trauma 4min by air」直訳したら空気による外傷4分?みたいになりますが、外傷がヘリであと4分で搬送されてくるという意味です。

また日本の医学英語辞典などには交通事故はtraffic accidentとなっています。一般的では間違いないけどtrauma centerでの表現は車による閉じ込め外傷やCrushが原因の場合はMVC(Motor Vehicle Crushもしくはcompression)と表現され、はねられた人はMVA(Motor Vehicle Aaccident)と呼んでいます。銃創は思った以上に多く前述しましたがGunShotInjuryではなくGunshotWoundといいます。あとはStab Wound(刺創)も少なくありません。

RWJUHのプレホスは前述したかもしれませんが、ナースと救命士のユニットになります。(医師は現場にいきません)昨日は小児の外傷が搬送されてきましたが、すでにフライトナースがルートを確保していました。技術もかなり修練されている感じでした。

昼食はACSのメンバーとgeneral surgeryの連中と食事をしました。その中の1人は外傷特に戦争による外傷を学ぶためにイスラエルで1年間学んだそうです。その費用的支援も国や大学病院がしてくれるそうです。国をあげて外傷外科医を育てようという姿勢を感じました。

午後はCCUでcardiologistらと話ができました。因みにPCIをうる医師はsurgeonと呼ばれます。(因みに熱傷専門医はBurn Surgeonと呼ばれます)

やはりECMOは重症肺炎かARDSのためのVV-ECMOが多く循環補助のためのVA-ECMOは使わないそうです。ただ最新のデバイスとしてImpella Dviceといって大腿動脈から経皮的に穿刺してカテーテルのように左室に留置し左室に流入してきた血液をカテーテルが吸引し大動脈部からそれを流出させる小型のカテーテル方ポンプを使用していました。大腿動脈穿刺だけで済むしカテーテル径もECMOより細いのが特徴です。まだ日本では承認されていませんが、これが使用可能になれば心カテの複雑病変の治療やLOSの治療にも有用だと思います。

Traumaの勉強ではPenetrating Neck Injury(鋭的頸部損傷)のマネージメントについて教えていただきました。胸骨体上縁から下顎骨の顎関節までの間はZONEⅡとよばれ、EAST(Eastern Association for the Surgery of Trauma)のGuidelineに基づいて検査、治療されます。AASTやEASTのガイドラインなど、ここまで細かい外傷のガイドラインは日本にはまだ存在しなと思います(あったらすみません)。米国のガイドラインの細かさと多さには驚くばかりです。

夕方はMorel Lavallee Lesionの洗浄ドレナージの手術をみさせてもらいました。これは鈍的外傷のときに大腿付近に生じやすい閉鎖性デグロービング損傷で、外力により真皮層と脂肪層の間が剝ぎ取られるように避けて、そこの血腫が溜まり鞘を形成してしまうので抗炎症性細胞が中に入りにくく吸収できないので治癒までに遷延するものです。日本では稀となっていますが、米国では少なくないそうです。

帰りに、Atriumという病院真ん中の集会スペースでannual Grobal Health Fairというのをやっていました。科を越えていろんな科や学生がそれぞれの専門分野や研究したことをポスターにして発表するイベントです。こういう開かれた文化や交流は学ぶべきだと感じました。

こんな感じで言葉の違い、文化の違い、医療や環境の違いを同時に学んでいる毎日を過ごしていることを実感しています。明日は何がおきるやら・・・

Everytime Do my best!

(↑私が勤めていたときには、Reseach Dayと呼ばれていました:by小谷穣治)

Typical Friday after work

Rutgers-Robert Wood Johnson Medical School Wood Johnson Medical SchoolのTrauma Centerに臨床留学中の上田敬博副センター長の「Typical Friday after work 」の様子が、Family Medicine & Community HealthのKaren Lin先生から送られてきました。彼女いわく、「I think he has good time here.」です。Taka, Brotherと呼ばれてすっかり仲間として活躍しているようです。上田敬博先生のNJ便りをぜひ読んで下さい。

Taka at Trauma Center of Robert Wood Johnson Medical School University Hospital:New Jersey便り①

当科の上田敬博先生が、かつて私が3年間勤めていたRutgers-Robert Wood Johnson Medical School (RWJMS)University HospitalのDepartment of SurgeryのAcute Care Surgery部門に臨床留学しています。

アメリカからはこのブログにアップできないそうなので、彼からの報告を私が変わってアップいたします。

昨日、上田先生が配属されたTrauma Teamのメンバーの写真が送られてきました。左にいるDr. Peckはかなり優秀だそうです。上田先生はアメリカでの医療を見て日本の医療レベルを評価できているようです。

今後、幾つかのシリーズで上田先生からレポートがあると思いますので、順次アップしてゆきます。

アメリカのような先進国の医療を生で経験することは、今自分のいる位置を客観的に捉えるためにはとても有効です。興味ある先生は御連絡ください。

ところで、兵庫医大の学生とRWJMSの学生はstudent exchange programをもう数年間行ってきましたが、それを担当してくれているfamily medicineのKaren Lin先生が上田先生を買い物に連れて行ってくれているそうです。こういうサポートも助かります。

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兵庫医大救命救急センターのある日

大都市の阪神間では多くの病院があり、それぞれの得意な専門分野を活かして協調的に連携し、いい意味で住み分けでいます。兵庫医大救命救急センターは、重度外傷、acure care surgery, 熱傷、終章の内因性疾患など、いわゆる3次救急患者だけで年間1700件程度受け入れており、各専門診療科の協力のもとで、ER、手術、ICU管理を独立して行っています。

臓器別の専門医を目指すのもかっこいいですが、総合的に全身を診る医師を目指すことは医師の原点と思います。

総合”救急”診療医を目指したい方、経験してみたい方、いつでも当センターの門を叩いてください。

センター長&主任教授

小谷穣治

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アメリカの留学生

先の投稿に書いたように、我々はアメリカの大学病院と交換留学をしています。この夏には、Washington UniversityのKaraと、Robert Wood Johnson Medical SchoolのPengが3週間の研修に来ました。写真は、本学の学生を交えたHOME PARTYの様子です。

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Dr. Taka Ueda arrived at Rutgers-Robert Wood Johnson Medical School

上田敬博副センター長が、アメリカニュージャージー(NJ)州立Rutgers-Robert Wood Johnson Medical Schoolに到着しました。Trauma center, Department of Acute care surgery, 関連病院のNJ Burn Centerで研修します。NJ Burn Centerは全米一番の症例数です。New BrunswickというNJの中心都市にあり、マンハッタンまで電車で1時間位のところで、しかも物価はNew Yorkの半分以下、衣食住の税金はなし、しかもNew Yorkという大都市とアメリカらしい郊外を両方知ることができる、とてもいいロケーションです。

このRobert Wood Johnson Medical Schoolは、私が3年間勤めた大学病院であり、現在は兵庫医科大学と毎年学生の交換留学をしています。今後は兵庫医科大学救命救急センター&救急・災害医医学講座の医師の臨床留学を進めていきます。

海外で仕事をする機会をもつことは、医師として成長するにはとても役に立ちます。ご興味ある方は是非当科の門を叩いてください。お待ちしております。

主任教授&センター長

小谷穣治

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