第12回 高田塾
済生会前総長の斉藤洋一先生に、神戸大学第一外科同門会でお会いした時に、「日本テレビの報道局解説委員の高田和男さんが中心となって、政治家やマスコミ、行政の方々がいろんな時事問題を議論する『高田塾』なるものがあり、是非とも参加して君の意見を国の真ん中で述べて来るべし。」とのミッションを頂き、1月24日に行ってきました。この会は、登録メンバーの紹介がないと行けない仕組みになっているようです。日本プレスセンターの9階の日本記者クラブ会場にはぎっしりと机と椅子が並べられ、司会は日本テレビの井田由美さん。とっても賢そうでした。後でお話しましたら、大阪の枚方出身で四条畷高校だそうで、ひらパーのスケートリンクの話で盛り上がりました。会場には他に民主党の仁木博文先生、検察OBの大沢弁護士もお見かけしました。仁木博文先生は、東大を出てから徳島大学医学部を卒業された産婦人科医で、私の地元である宝塚市民病院でも勤務されていたそうで、こちらも懐かしい話で盛り上がりました。世間はあちこちでつながっていますね。
さて、当日のお題は、『小児救急医療』。東京都大田区で東邦大学小児科と医師会が一緒になって10年以上かかって、『大学病院併設型小児医療施設』を立ち上げて今はうまくいっているそうです。演者は東邦大学医療センター大森病院小児科の松裏裕行准教授、そして医師会側は蒲田医師会の南雲晃彦先生。お二人の話をまとめるとこんな感じです。
平日夜間や休日に大学病院の外来を解放して、開業されている小児科の先生方に大学で1次救急患者の診療をして頂く。もちろん、検査もできるし、大学のコメディカルもサポートします。開業の先生方は大学の非常勤医師となってもらって、東邦大学医療事故保険に入って頂き、医療事故や訴訟の場合も大学として対応する。さらに、緊急処置が必要である場合に同じ建物の中に居る大学の当直小児科医がすぐに対応する。これは開業医の先生方にとっても非常に安心出来るそうです。どこかに転送するのではなく、同じ建物の中というのがポイントです。
最初にこの構想の実現に向けて動き出した頃は南雲先生と神川晃先生のお二人だけで、医師会の誰もが非協力的だったそうです。そりゃあそうですよね。自分の診察が終わってから夜中や休日にも働くなんて、かなり無理がかかりますから。しかし、最後に南雲先生・神川先生が「じゃあ、俺たち二人だけでやる!」と言ったら、「そこまで言うならしようがない。」というふうに、お二人の情熱にだんだんと医師会の先生方も協力してくれるようになったそうです。でも、ようやくシステムが始動する直前に南雲先生は脳梗塞で倒れたそうです。まるで映画みたいですね。幸い、お見かけしたところ大きな麻痺もなさそうでしたので、ほっと致しました。。。そして、松裏先生のいらっしゃる東邦大学小児科の医師達も、以前は1次、2次の救急患者の対応のために3次の救急患者に対応出来ず、心も体も疲弊して行く状況でしたが、今は比較的2~3次の救急患者に集中出来るようになってストレスも減ったようです。そして、そのお陰なのか、医局員は確か25名いるとおっしゃっていたように思います。凄いですね。
それでも、参加している開業医の先生方のアンケートでは、1~3ヶ月に一回がちょうどいい、いや、限界という答えが大半でした。参加医師の中には80歳を超えておられる方が2名いらっしゃる等、高齢化もその理由なのかもしれません。
私は、会場から意見を述べさせて頂き、医師の方々の努力もさることながら、医療を受ける側が、限りある医療資源を大切に使うこと、はっきり言えばコンビニ受診と言われるような、不必要な時間外の受診や救急車の利用を控えて頂くための啓蒙活動も重要であることを訴えましたが、この点に関しても(今日は話さなかったが)しっかりやっているとのお返事でした。
今回はとても熱い議論がかわされていたので、いい写真が撮れませんでしたが、自席から前を見た写真を掲載します。
自席から見た司会者。東邦大学の炭山先生の横で見えないのが井田由美さん。