日本臨床救急医学会報告

タイトル:日本臨床救急医学会報告

皆さん、こんにちは。今日は、ちょっと遅れましたが、5/31(月)の日本救急医学会@幕張の報告です。私はこの日の朝にコペンハーゲンから成田空港、バスに乗って幕張国際会議場に向かいました。兵庫医大社会福祉士の木村亜紀子さんの発表を援護するためです。演題は「転院支援から見る救命救急センターにおけるソーシャルワーカーの役割」でした。救命救急センターは単一の科では診られない複合疾患の重症例が多く搬入され、また、高齢社会を反映して一人暮らしだったり介護が必要だったりで、なかなか転院先を探せないことが多いのです。かといって、急患は次々と運ばれてくるのですから、センターのベッドの空きも確保しなければなりません。従来は転院交渉、ご家族の方々への説明など、全て担当医師が行っていましたが、医師は本来業務である患者さんの初期治療、検査、診断、手術、集中治療で手一杯で、電話口に何日も到達できないことも多く、近隣病院への交渉や家族への連絡さえ長い時間出来ないこともよくありました。結果、ベッドの満床状態が続き、新しい急患を断らざるを得ないことも多かったのです。さらには大学ですから教育(医学生に限らず消防署や専門学校などたくさん業務があります)、研究活動もしなければなりませんからなおさらです。アメリカでは以前からこのような業務を行う医療社会福祉士が活躍し、出来る限り医師が医療に専念できるようなサポート体制があります。そして数年前からようやく日本でもこの職務の重要性が認知されてきたのですが、まだまだ数が少なく、また日本の医療にあった活動を求めて未だ模索段階と言えます。

このような中に-あって、今回は、救命救急センターや救急病院で活躍する社会福祉士がワークショップの形でそれぞれの施設の工夫や問題点等を発表し合いました。兵庫医大の木村さんは救命救急センターに一日に何度も来られて、転院先の確保が難しい症例や、支援が必要な患者さんのご家族の聞き取り調査や身体的または心のサポートまで、献身的に相談に乗って下さいます。木村さんは自身の関わった症例を分析して、転院や自宅への退院が難しい理由が、1)呼吸器や精神疾患などの身体的問題33%、2)ご家族のご希望や理解不足32%、3)独居など身上の問題18%、4)その他17%と報告しました。他の施設からも、その地域、その病院ごとに様々な事情や工夫が発表され、多くの問題解決のヒントが示され、座長の定光大海先生(大阪医療センター)の司会もすばらしく、壇上と会場が一体となって議論が進み、非常に有意義なセッションでした。木村さん、ご苦労様でした。明日から、またよろしくお願いします。

 さて、私はそのあと重いスーツケースを持って東京駅に移動して、大阪であった日本静脈経腸栄養学会評議員会に出席するはずでしたが、幕張の議論が白熱して抜けられず、参加できなくなってしまったので、メールで書類だけ送ってパスしました。最近はメールやインターネットでこういうことができるので便利ですね。お休みしてすいませんでした。
 そして、この日最後の締めは、北新地であった当科の平田淳一助教の壮行会です。彼は、6月から西宮市の明和病院外に外科修練のために出向するのです。いままでずっと兵庫医大で仕事をしてきましたから、彼にとっては初めての外地研修で、みんなで大いに盛り上げてきました(残念ながら盛り上がりすぎて写真撮影をすっかり忘れてしまいました)。
 ここでは臨床的なことは個人情報の保護の観点から詳しく書けないのですが、センター長がアウェイの間、我が救命救急センターの精鋭達は、多くの重症の患者さん達の治療を一生懸命してくれていました。頼りになる凄腕メンバーです。
 5/31のまとめ:成田→幕張→大阪梅田(パス)→大阪北新地。長い1日でした。おつかれさま!(自分に言ってます。)