忘れられない二人の先生
今年もあとわずかです。今年も我々兵庫医科大学救命救急センターは多くの方々に支えられて大きくなって参りました。本当にありがとうございました。
今年はいろんなことがありました。それはまた年が明けたら順次書いて行きます。このブログでは、今年の忘れられないこと、大切な二人の先生のご逝去のことを書きます。
神戸大学の石井昇教授のご逝去です。私は神戸大学の第一外科から救急部にローテーションしておりましたが、そこで石井先生にご教授いただきました。石井先生は神戸大学第二外科でしたが、腎臓癌で手術を受けられ、救急部部長への異動に際して、「あと人生はおまけや。流れに逆らわずに生きるんや。タバコもやめへんで〜。」とおっしゃっておりました。本意ではなかったと受け止めましたが、良い意味で奔放で豪快な方でした。ところが、阪神淡路大震災をきっかけに救急部が災害・救急医学講座となり、その後のご活躍は誰もが知るところです。とにかく人を惹き付ける方でした。石井先生には講座への異動もお誘いをいただきましたが、事情が重なり、かないませんでした。昨年神戸大学に出勤された時にお会いし、お許しいただきました。本当に穏やかな先生でした。
2004年頃:左から3番目が石井先生
2012年1月25日:神戸大学石井教授室で石井先生と。
もう一人、私の私のアメリカ時代の師匠、Stephen F. Lowry先生のご逝去は一昨年でしたが、今年10月のSurgical Infectionの表紙となり、同時にEditorialで特集が組まれています。外科医でありながらTNF-αの発見メンバーであるなど分子生物学や代謝栄養学の大家でもあり、Robert Wood Johnson医科大学病院の病院長、外科学のチェアーマンでしたが、昨年6月に大動脈解離で急逝されました。人情に厚く、世話好きで、研究が好きで、でも、タバコはやめないし、酒を飲んで大笑いするし、仲間うちでいるときは言いたいことを言って子供のようで、とてもかわいがってもらいました。特に私はLowry先生ともども病院屋上へ出る扉の鍵を持っている数少ない職員で、よく二人で柵のない屋上で煙草を吹かしていろんな話をしてもらいました。
先日のSurgical Infectionの表紙。
生まれたばかりの長男と一緒に。
人生にはターニングポイントとなる出会いがいくつかありますね。そのような出会いをたくさん提供できる医局作りを目指して行こうと思います。
書いてるうちに新年を迎えました。皆様、どうか、本年もよろしくお願い致します。