2010年度アメリカショック学会報告
さっきのブログと時期は前後しますが、6月10日からポートランドのアメリカショック学会に発表しに行ってきました。我々は私の神戸大学時代のボスである神戸大学医学部保健学科宇佐美眞研究室とここ6年間共同研究をしてきましたが、今回はその成果として、神戸大学の渡邉まりさん(神戸大学大学院生)の”The role of Interleukin (IL) -18 in lymphocyte apoptosis during endotoxin-induced systemic inflammation. “と神戸大学のみならず兵庫医大の研究生でもある青山倫子博士(Ph.D.)の”Gender difference of Interleukin (IL) -18-related signal transduction in jejunum during endotoxin-induced systemic inflammation.” を熱く語ってきました。そのうち後者は全演題中で10名に与えられるtraveling awardを頂きました。日本の施設からの発表では我々だけでしたのでこれはもう非常に誇りに思っています。残念ながら渡邉さん本人は来られなかったので、青山さんが受け取りました(写真)。
私が1997~2000年にアメリカのStephen F. Lowry先生の元で仕事をしている時にアポトーシスの研究を始めるにあたり多くの論文を読みあさりましたが、その頃に多くのアポトーシスに関する非常に重要な発見を論文発表されていたのがDr. Hotchkiss先生です。2007年、当時の丸川前教授時代に主催した日本集中治療医学会にお招きして以来の再会で(そのときは毎日ポートピアホテルのラウンジで飲んでました:「ジョージ、タバコはやめるべきだよ」と言われ。。。:当時は時々吸ってたんです)、久しぶりに親交を深めることができて非常に満足しました。大の娘さんびいきで、日本に呼んだときも、「ビジネスクラスのチケットをエコノミーに変更してその差額をキャッシュで欲しい、無駄は削いですべてを娘のために使いたいんだ」とおっしゃっていましたから、もう筋金入りの娘大好きパパですね。今回も娘さんのお話ばっかりでした(もう一人息子さんが居るはずですが)。そして一緒に写真に写っているのが、ついこの間までHotchkiss先生のところに留学していた東海大学の井上茂亮(しげあき)先生です。彼は私と同じ兵庫県出身で、岩手医大にいる秋冨慎司先生(元兵庫医大)を通じて以前からメル友でした。お会いするのは初めてでしたが、すっかり意気投合しまして、ご覧の写真のような様相になってます。
さて、次の日には、ショック学会に参加していた何人かの日本人の先生方と一緒に夜ごはんに行きました。写真で右から、滋賀医外科&小児科の赤堀浩也・史絵夫妻、日本医大の佐藤格夫先生、私、神戸大学&兵庫医大ダブル在籍の青山倫子先生、日本医大外科の松谷毅先生、東海大学救急の井上茂亮先生、日本医大外科・現在アメリカのNorth Shore University Hospital and Long Island Jewish Medical Centerにいる松田明久先生、京都大学の鈴木崇生先生、東亜大学医療学部の中田敬司先生、そして後ろに立っているのが右から神戸大学医学部保健学科大学院生の高原美樹さんと山内千里さんです。
ところで、もう一枚、バカな写真を紹介します。ポートランドに着いて初日に神戸大学の女性3名を連れてごはんに行った帰りにレストランの前で写真を撮ってもらいました。しかし、私はナプキンをズボンに挟んだままでした。お店の人も「これはジャパニーズスペシャルなスタイルなんだな」とでも思ったのか、何も言わずに何枚も写真を撮ってくれました。
さて、学会の後半を少しはしょって、私が留学していたニュージャージー州立医科歯科大学—ロバート・ウッド・ジョンソン医科大学(University of Medicine and Dentistry of New Jersey-Robert Wood Johnson Medical School;UMDNJ-RWJMSと略します)の先生方と共同研究の打ち合わせを行うためにニューヨークに移動しました。私の神戸大学第一外科の先輩のお嬢さんで、ニューヨークの学校を卒業してマーケティングとファッションの仕事をしている岩津加由子さんも来てくれました(写真の右端)。彼女はこの7月に帰国し、私達の教室で主に外国関係の仕事を担当する秘書として働いてくれることになりました。
私のいたUMDNJ-RWJMSはニューヨークのPen StationからNew Jersey Transitという電車に乗って約40〜50分のNew Brunswick駅のすぐ前にあります。大学病院はもともとニュージャージー州立医科歯科大学群のなかの一つの医学部附属病院でしたが、大学病院をJohnson & Johnson社の2人の社長のうち1名のJohnsonさんであるRobert Wood Johnsonさんが買い取ったのでこの名前になっています。そして病院から歩いて3分くらいのところ、New Brunswick駅のすぐ横にJohnson & Johnson社の本社があります。世界企業の本社なのに小さいイメージですが、近郊には広大な工場やオフィスがあります。
約4年ぶりの古巣にはまだ多くに仲間が残っており、大学内のあちこちを訪問して楽しい時間を過ごしました。直属のボスStephen F. Lowry先生にも2007年に日本に招請した時以来お会いできましたし、奥さんのSusette Coyle, R.N.(ブルックリン育ちでしゃべるのが早いんです)、美人で優しく5人の子持ち・外傷外科医・分子生物学者でもあるとても優秀な外科医、Siobhan Corbett, M.D.(写真:このときはNIHグラントの投稿ではなく“査読”をしてました)、胸部外科医のJohn Langenfeld, M.D.の妻、で研究補助をしているElaine(写真:『ジョージ、10年もこんなことしてるって思わなかったでしょ?ところでジョージがいなくなったあと子供が出来たのよ』とかわいいお嬢さんの写真を見せてくれました)、僕にアメリカで“How to survive in America”を毎日教えてくれたAshwini Kumar、僕のビザを日本語名のJojiではなくてGeorgeで作ってくれた秘書のLynn Wood-Keogh(おかげで留学が1ヶ月遅れました)、フローサイトメトリーを教えてくれたJohn、その他多くの仲間が私達を迎えてくれたことにとても感謝しています。そしてなんと言っても、ここは私の二人の息子が生まれた病院でもありますから、何度来ても当時の苦労と喜びを思い出します。来年は息子達に自分のルーツを知ってもらうために連れて来るつもりです。彼らにアメリカ国籍である自覚は全くありませんけど。
さて、私はニューヨークではもっぱらホテルにこもって仕事をしていましたが、一度、グランドセントラル駅の地下にある昔から有名なオイスターレストランに行ってきました。メニューには読み切れないくらいたくさんの世界中から集めた(と思われる)牡蠣の料理がありました。ここはNY在住の岩津加由子さんにお任せ注文しました。
さて、NYの夜の話です。初日は、Bird Landという伝統あるJazz Cubに行きましたが、Jazzではなくて、一人の司会者、JIM CARUSOがJIM CARUSO’S CAST PARTYと名打って、ずっとステージにいて、次々と会場に居るブロードウェイミュージカルを中心とした有名人(西海岸の有名人も居ました)をステージに上げて、まずはトークの掛け合いをして会場を盛り上げ、そのあと一芸を披露させるというショーを展開していました。歌を歌う、バイオリンを弾く、踊る、手品をする(大きく膨らんだ風船を食べていました)、演劇をする、などなど、その芸のすべてがプロフェッショナルで、アメリカの芸術というか芸能というか、その層の厚さには驚くばかりです。それでよく考えたら要するに会場の半分くらいは芸能人とか有名人とかそのお付きの人なのです。でもドリンク込みでたった30ドル。アメリカは凄いですね。2日目の夜は、今度は超スタンダードなJazzを聞きに、Village Bangardに行ってきました。私はこのピアニストを知りませんでしたし、名前も忘れてしまいましたが、凄かった。会場中がシーンとなってみんなが聞き入っていました。音をここでお見せできないのが残念です。
今回はショック学会のアワード受賞、そして古巣のRWJMSの仲間に会えたこと、NYも楽しめたこと、がとてもいい想い出になりました。