スタッフの雑感

Taka at Trauma Center of Robert Wood Johnson Medical School University Hospital:New Jersey便り③

朝のカンファレンスはERとtrauma teamが合同でカンファをしてからtrauma team単独でカンファを行います。夜は40歳前半の狭心症で左冠動脈主幹部の狭窄(日本ではこの歳での主幹部狭窄は少ない)うっ血性心不全を伴った心筋梗塞や急性胆嚢炎などの内因性疾患や階段からの転落や交通外傷が搬送されていました。カンファ後は病棟からチームで一人ずつ回診していきます。

昼はカフェテリアでランチします。ここではなんとなくですが各科の座る場所がなんとなく決まっているようです。いまは一般外科から来ているDr Luiz(写真で一緒に写っている)と心臓血管外科から来ているDr Danielと他校から1か月研修に来ているmedical studentと行動を共にしています。Dr Luizは仕事熱心で、忙しいのに面倒をよく見てくれます。彼はブラジル生まれだそうでポルトガル語ももちろん堪能です。将来は血管外科医を目指しているそうです。また遅くまで患者さんを診て、初療にも積極的に参加して、手術の技能も優秀です。これは俺の仕事ではないとか、自分のDUTYではないという態度は全く見せません。日本に連れてかえりたいくらい優秀です。

ここには沢山の集中治療室があり迷っていまいます。日本でSCUという表示はStroke Care Unitといって脳卒中の集中治療室ですがここではSurgicalつまり外科の術後用の集中治療室だったりします。手術室やカテ室は1階にありA~E表記もあれば番号表記もあり、理解するまで時間がかかりそうです。Visiting Doctorとして来ていますがネームカードがMDとなっているためナースやスタッフが初療後はどこに移動させるの?術後はどの部屋に運ぶの?と聞いてこられるのでびっくりしてしまいます。外傷性血胸の開胸手術があり、そのあと初めてGun Shot Wound(銃創)の初療を経験しました。体に数発撃たれたものの、致命傷はなく、腰椎の棘突起が粉砕されて、弾は貫通していました。銃創は射入口(entranceGSW)にクリップとテープをはった状態でCT検査を行います。そうすると射創管と射出口の推定や目印になるからだそうです。こういうのは日本ではなかなか経験することができません。これからここで吸収できることを最大限吸収して日本に持ち帰ろうと思います。

img_1136

img_1134

Taka at Trauma Center of Robert Wood Johnson Medical School University Hospital:New Jersey便り②

11月30日に米国はNewJersy州に到着し、RobertWoodJohnson医科大学病院のTrauma Teamで勉強させていただいています。NewJerseyはニューヨークの西側に位置し、NJ transitで40分くらい乗ればニューヨークに行くことができます。天気のいい日はアパートからマンハッタンの摩天楼が見えます。

%e3%83%95%e3%82%a1%e3%82%a4%e3%83%ab-2016-12-06-14-02-29

%e3%83%95%e3%82%a1%e3%82%a4%e3%83%ab-2016-12-06-14-02-49

%e3%83%95%e3%82%a1%e3%82%a4%e3%83%ab-2016-12-06-14-02-06

現在私はTrauma teamで勉強しています。ここはDepartment of ACS(Acute Care Surgery)の組織下にありますが独立している感じです。TTは名のごとく外傷だけを専門に診るチームで私はDr Peckのチームに配属となっています。Dr Peckは先日ジョージ先生がブログにアップしてくれた写真の私の左隣のイケメンDrでACSをマスターし全身管理もできる優秀なDrです。初日から手抜きなしではじまっており、朝は7時~10時のカンファレンスが始まります。外傷の内訳は交通外傷が多く、次に銃創(gun shot wound)といったところでしょうか。気管損傷の縦郭気腫患者や頸椎損傷の少年も入院しています。朝のラウンドではコーヒーを飲んだりドーナツを食べながらレジデントや若手医師(一般外科からの出向)らが受け持ち患者と新規入院患者の現況と治療方針についてプレゼンを行い、それについてDrPeckがsuggestionするといったもので当科の方式と似ています。みんなは私をTAKAと呼んでくれており、朝カンファ中でもDrPECKが「TAKA、君ならワロリーマイスの治療どうする?」と聞いてきたりするので、うかうかできず緊張の連続です。

朝カンファが終わると回診です。ラウンドはチームとリーダーナースとケアマネージャーと一緒に動きます(これは是非当科で取り入れたい!)。まず軽症もしくは落ち着いている病棟の患者さんからです。Tower flowerの9階がTrauma Teamの病棟です。ここではチーム全員が毎日一人ずつ必ず回診します。日本と違うのはここでも片手にコーヒーを持ちラウンドし、病室の前で移動式電子カルテの台の上に置いて病室に入るところがアメリカっぽいです。病棟回診後、処置を行い、昼食後にICUなどの重症患者をラウンドします。16時から17時に終わって、若手はこの後カルテ記載があります。もちろんこの間初療が来ると行かなくていけません。初療室は3部屋あります。初療室は当科の方が数倍広く、少し狭く感じます。医師は診察や処置だけを行い、CT検査などの搬送は他のスタッフが担当します。画像は自ら診た後に画像診断専門の医師に最終チェックをしてもらうのが流れです。処置はDr Peckの指示・指導下で行われるので上級医の負担はかなり大きいかもしれません。僕から見るとスクラムはがっちり組めています。

兵庫医科大学救命救急センターに入局した時にジョージ先生からRWJUHでの生活を聞かされてすごく興味を持ちました。はじめて一緒にRWJUHにいっときにジョージ先生から聞いていたNJでの生活が僕にも全くあてはまっていたのには驚きました。まずは独り言が多くなります。ある程度の会話はできると思っていたのに、みんな遠慮なく普通に話しかけられて答えられないことがあります。(きれいな英文法で英訳しようとしすぎてかえって口から言葉がでない)こんな時は帰ってから独り言が多くなります。また、聞き取れない自分、うまく表現できない自分、伝わらない自分がいるので、帰宅してドアを閉めたら無意識に「クソーッ!」といっている自分もいます。ジョージ先生が言っていたのと同じだと思ってしまいました。しかし、チームのメンバーはTAKAと気軽に呼んでくれ、チームの一員として認知してくれているのは非常に有難いです。ナースやコメディカルスタッフも優しく声かけてくれます。(院内で道が分からず通りがかりの白衣女性スタッフに尋ねて、日本から来たといったらCongraturationといわれました)

%e3%83%95%e3%82%a1%e3%82%a4%e3%83%ab-2016-12-06-14-03-03

%e3%83%95%e3%82%a1%e3%82%a4%e3%83%ab-2016-12-06-14-03-19

%e3%83%95%e3%82%a1%e3%82%a4%e3%83%ab-2016-12-06-14-03-33

この他にもいろいろ気付いたことはありますが、またレポートします。金曜日は家庭医学のDrLin先生が来るまでスーパーまで連れて行ってくれました。生活必需品や水など一人で持ち運べないものを買い込むことができたのですごく助かりました。Lin先生は朝と夕方にLINEできちんとすごせているか?ご飯食べれているか?聞いてくれるので心強いです。

私も留学生に対してはできるだけサポートしてこうと思いました。朝早いのですぐに記録できるかわかりませんがまたレポートしていきたいと思います。最後にジョージ先生と救命救急センタースタッフ全員に感謝いたします。(TAKA)

Taka at Trauma Center of Robert Wood Johnson Medical School University Hospital:New Jersey便り①

当科の上田敬博先生が、かつて私が3年間勤めていたRutgers-Robert Wood Johnson Medical School (RWJMS)University HospitalのDepartment of SurgeryのAcute Care Surgery部門に臨床留学しています。

アメリカからはこのブログにアップできないそうなので、彼からの報告を私が変わってアップいたします。

昨日、上田先生が配属されたTrauma Teamのメンバーの写真が送られてきました。左にいるDr. Peckはかなり優秀だそうです。上田先生はアメリカでの医療を見て日本の医療レベルを評価できているようです。

今後、幾つかのシリーズで上田先生からレポートがあると思いますので、順次アップしてゆきます。

アメリカのような先進国の医療を生で経験することは、今自分のいる位置を客観的に捉えるためにはとても有効です。興味ある先生は御連絡ください。

ところで、兵庫医大の学生とRWJMSの学生はstudent exchange programをもう数年間行ってきましたが、それを担当してくれているfamily medicineのKaren Lin先生が上田先生を買い物に連れて行ってくれているそうです。こういうサポートも助かります。

img_1060

%e3%83%95%e3%82%a1%e3%82%a4%e3%83%ab-2016-12-06-14-03-03

Dr. Taka Ueda arrived at Rutgers-Robert Wood Johnson Medical School

上田敬博副センター長が、アメリカニュージャージー(NJ)州立Rutgers-Robert Wood Johnson Medical Schoolに到着しました。Trauma center, Department of Acute care surgery, 関連病院のNJ Burn Centerで研修します。NJ Burn Centerは全米一番の症例数です。New BrunswickというNJの中心都市にあり、マンハッタンまで電車で1時間位のところで、しかも物価はNew Yorkの半分以下、衣食住の税金はなし、しかもNew Yorkという大都市とアメリカらしい郊外を両方知ることができる、とてもいいロケーションです。

このRobert Wood Johnson Medical Schoolは、私が3年間勤めた大学病院であり、現在は兵庫医科大学と毎年学生の交換留学をしています。今後は兵庫医科大学救命救急センター&救急・災害医医学講座の医師の臨床留学を進めていきます。

海外で仕事をする機会をもつことは、医師として成長するにはとても役に立ちます。ご興味ある方は是非当科の門を叩いてください。お待ちしております。

主任教授&センター長

小谷穣治

img_1752

Central Chest Institute of ThailandでECMOの講演をしてきました

img_0881img_0830バンコクのCentral chest institute of Thailandの循環器内科・カテーテルチーム・CCUチームにお招きいただき、ECMO(人工心肺)の適応と管理方法について講演させてもらいました。Indication and management of ECMOと題し、約1時間にわたりELSOのガイドラインや日本の適応や管理をお話しさせていただきました。その後、ハンズオンセミナーとしてプライミング、カニューレ挿入のテクニックや接続での注意点やトラブルシューティングに対して指導させていただきました。国立循環器呼吸器病センターみたいなところでカテチームは年間2000例のPCIを行なっており、CTOや複雑病変も多く治療されているそうです。ECMOを使えることで更に多くの人が救われることを願います 

救命医療学会

img_0231

img_0230

寒くなりましたね

少し前になりますが

9月17日に福岡大学病院で開催された救命医療学会に兵庫医科大学救命救急センターからは4題の一般演題とシンポジウムにジョージ先生が参加しました

臨床・研究・教育を両立するのは大変ですが、大変だからこそやりがいも感じます

明日の医学の発展のため、一人でも多くの命を救うため日々精進していきたいとおもいます

 

スタッフ一同

 

 

第20回阪神ISLS

14600916_1166768340075635_9036488708853405207_n

10月8日(土)関西ろうさい病院で第20回阪神ISLSを開催しました。

ISLSは脳卒中の初期診療コースで、脳外科や脳卒中専門医に診てもらうまでの気道・呼吸・循環が不安定な時に処置を行い安定化させたり、NIHSS(脳卒中重症度スケール)を適切かつ迅速にとれるように学ぶコースです。

今回も27人もの受講生が参加していただきました。

今回は脳卒中治療ガイドライン2015の初期診療のトピックスも講義させていただきました。

くまもと

kumamoto休みを利用して4月の熊本地震の際に活動した避難所だった江南中学校 健軍東小学校 熊本県立第二高校と被害が大きかったため病院避難を決定し多くの入院中の患者さんを他病院に転院するのを手伝わせていただいたくまもと森都病院、南阿蘇村白水庁舎を訪れてきました。 写真はくまもと森都病院の当時の搬送トリアージに遂力されたコアスタッフの副院長と師長さんらです。 当時はDMAT側と病院側の窓口(連携役)を固定し混乱している状況でもなるべく混乱を避けようとチームビルディングをしたように覚えています。 当時の活動終了後、当時のことやその後のことの話ができないこともあり、4ヶ月経って気になっていたので活動した場所を振り返る目的で熊本にいきました。 くまもと森都病院では当時の被害状況や患者さんらへの対応について詳しく聞くことができました。屋上の貯水タンクが壊れて病棟は水浸しになり、壁にいろんなところに亀裂も入り水は使えない状態で、入院患者足の踏み場もないくらいぎっしりと外来待合室の床に並べ集めて管理せざるおえない状況だったとのことです。また、人海戦術で患者さんをおぶって1階まで搬送したり、排せつやおむつ交換ではプライバシー保護のために看護師さんやスタッフが人間カーテンとなってプライバシーを少しでも維持しようとしたこと、などなど今だから聞けることがたくさん聞けました。また、DMATなど災害医療チームが入ったときに介入された医療機関側はDMATが何をしてくれるのか?どうコミュニケーションをとればいいか最初は困惑したことなども聞けました。この点は災害医療の今後の課題だし、 内外で検討し活かしていきたいものです。当時活動していて感じたのは熊本のコミュニティ、繋がりの強さでした。ここの病院もチームワークは抜群でFor PATIENTSが一貫していました。避難所でもリーダーを中心としたネットワークや協力体制が作られていました。マニュアル厳守ばかりではできない大切な人としての原点を熊本ではみることができたように思います 

内視鏡治療

image

内視鏡を用いて食道静脈瘤の治療を行っています

急性期(吐血時)にEVL(結紮療法)で止血後、さらにそのままにしておくと出血するリスクが高い部分に医療用の硬化剤を注入しているところです(EIS)

兵庫医科大学救命救急センターでは内視鏡の操作や、緊急止血法についても希望者に対してはそのノウハウを丁寧に指導します。内視鏡検査・止血や処置なのどの手技もセンター内で習得することが可能です。

このように多くの緊急手技を身につけることが可能です。

いろんな手技を身につけたいという方、連絡お待ちしています

em119@hyo-med.ac.jp