岩野 仁香 医師

岩野

法律を学んで子どもを守る弁護士になりたいと、アメリカの大学への進学を決意。ところが、開業医である父の仕事を手伝ううちに、より近い距離で子どもを診ることができる医師という職業への興味が高まり、進路を変えました。小児科医としてのキャリアを積む前に、救急で全身管理のノウハウを集中的に修練したいと思っています。

実習時代から見ていたチームワークのいい職場

渡米を前に父の仕事を手伝いながら医師という仕事を間近に見ているうちに、フィジカル面からも子どもを守る小児科医になれば、より距離を詰めて関わっていけるのではないだろうか?  そんな思いが芽生えてきたんです。
せっかく手にした大学進学への切符をフイにするのは惜しいと言ってくださる方もいましたが、「なりたいと思う職業がみつかって、その道に進める人はそう多くないはずだ」と思ったので、決意が揺らぐことはありませんでした。
受験をやり直して医学部に進み、卒業年次の交換プログラムを使って、短期間ですが、兵庫医大病院を訪れました。ほかにも、沖縄や千葉など小児科で有名な病院をひととおり見せていただきましたが、最終的に、兵庫医大のお世話になろうと決めたのは、西宮出身の私にとって地元であることも大きな理由であることと、大学病院の中では比較的歴史が浅く、変化に対して貪欲な雰囲気があるところに惹かれたからです。

仮説、決断、リスクマネジメントは急性期診療の醍醐味

pic_iwano入って1年になりますが、本当に満足しています。
教授も外部から来られた方が多く、新しいものに対して柔軟ですし、学閥を感じることもないので、のびのびと働かせてもらっています。
また、どんなことにもマルチに対応しなければならないという状況に、向学心を刺激されています。背景がわからない状態で患者さんを受け入れ、短い時間で症状を読み取り、仮説を立て、危険な道を避けるようリスクマネジメントをしていくという急性期診療の進め方は、自分に向いているように感じます。声が大きいのも救急向きですよね(笑)。
一方で、急変した患者さんを診るために他の病棟に駆けつけるときは、普段は一緒に働いていない方々の中に飛び込んで、適確に指示を出さねばならないので難しいです。どんな状況でもヒステリックにならず、リーダーシップを発揮するという、プロの態度を身につけていきたいと思っています。

周囲に助けられ充実したオンタイム。オフは女らしさを忘れずに

まだ医師になって3年目ですし、興味がある小児科以外の知識も必要ですから、わからないことが山のように出てくる毎日です。ただ、職場の雰囲気が非常に良く、教授にも先輩にも質問しやすいムードがあるので、「誰に聞けばいいか」という判断はしやすいですね。なんといっても、小谷教授が面白くて優しい方で、常に一人ひとりのことを見てくださっているという安心感があります。
また、入職時から小児科医として、女性として憧れの存在であった中島有香先生と救急に来るタイミングが合ったのは最高の偶然でした。毎日患者さんのために精進するのはもちろん、中島先生に一目置かれたいという気持ちが原動力となっています!
もちろん体力的には決してラクではないですが、オンとオフのバランスはとりやすいと思います。女性らしさも失いたくはないので、仕事が終わったらエステやホットヨガに行って溜まったものを出してスッキリするのが最近の習慣です。結婚後も救急の現場で活躍している先生方がいることを心強く感じながら、今はまだ両親と会話を楽しむ時間を大切にしています。

フレキシブルな学びを米国でのキャリア形成に生かしたい

私は大学時代に9ヵ月間の米国留学を経験し、医師国家試験(ECFMG)に合格しました。アメリカは、施設間でプログラムがある程度均一で、何年でどのポジションに就けるかが明確に決まっている点が魅力。きちんとキャリアプランをたてて、来年6月から再び小児科レジデンシーのために渡米する予定です。
一方で日本は、専門とは別の科で学ぶことが許されているなど、フレキシビリティの高さが特徴です。私にとって、この救命で経験を積めることは願ってもないチャンス。ひとつでも多くのことを学んで、アメリカに持っていきたいと思っています。
まだ医師としての経験が浅い方は、「自分に救急が務まるだろうか」と不安に思われるかもしれませんが、兵庫医大病院には十二分なバックアップ体制があるので心配無用。自分のキャリアプランにおいて学びたいことが救急にあると感じたら、迷わずチャレンジして欲しいと思います。