宮脇 淳志

わたしは、平成3年に医師国家試験に合格し、その6月に兵庫医科大学の整形外科に入局しました。それから、普通に整形外科の専門医となり、大学院で博士号もとり、このまま、普通の整形外科医として、真っ当な人生を歩むはずでした。5年前に整形外科の医局長から、「来年から救命救急センターに出向してくれ」という電話がなければ……。
本来なら、1年限りの話でした。しかし、もともとおっちょこちょいな性格なのでしょうね。少しやっていると、外傷診療もおもしろくなるし、周りもおだてるものですから、つい「もう少しやります」と言ってしまいました。そうこうしているうち、役職が付いたり、年齢だけいってるものですから、若い先生に変に気を遣われたりして、いい気になっていました。
そのうち、「ここまでいたら、救急の専門医も取れる」なんて言われて、ますます深みに嵌ってしまって。最近、やっとこのままではやばいのではないかと気づいたのですが、あれですね、ネズミ講や、投資詐欺なんかにひっかかる人ってこんなかんじなんですかね、「まだいける、もうすこしいける」と突き進んで、気づいたら、抜き差しならなくなっているというやつ。日々慣れない事に苦闘しています。
「嗚呼、才能とか、センスとかどっかに落ちてねーかな?」と煩悶しながら、まあ、それなりに毎日充実しているし、スタッフも気のいい人たちだし、「人生こんなんもありか」とある種の悟りを開きつつある今日この頃。
あなたも、僕と一緒に、深みにはまってみませんか?