松田 健一 医師

松田

全国には立派な救命救急センターがありましたが、3次対応からICU管理への流れを持つ体制により強く心を惹かれ、兵庫医大病院を選びました。
私の強みは、「命を救いたい」という気持ちが誰よりも強いことと、最初から救急専門医としてスタートすることで視野を広く持てたこと。この3年間での成長ぶりに、我ながら満足しています。

専門分野以外も診られる医者になりたい

pic_matsuda小さい頃は祖父の診療所で遊びながら診療風景を覗き見をするのが、姉と私と妹の楽しみでした。医師である祖父・父の背中を見ていたからなのか幼稚園の頃には「お医者さんかケーキ屋さんになりたい」と言っていたようですし、家族も応援してくれたので迷うことなく医療の道へ。将来についてリアルに考え始めたのは、医学部に入ってからです。
医者になるからにはオペが出来るようになりたいという気持ちと、専門分野には詳しいけれど、他のことはわからない医者にはなりたくないという気持ちが拮抗し、興味の対象は、耳鼻科と救命救急に絞られていきました。そして、その両方で日本トップレベルを誇る兵庫医大病院で研修させてもらうことに。とくに救命救急センターに関しては、ICUが併設されていて、本当の意味で患者さんの容態が安定するまで管理できるところに強い魅力を感じていました。

迅速な判断力が求められるドラマティックな現場

「ここ、すごいところやないか!」というのが救命救急センター第一印象でした。交通事故、転落事故、災害事故・・・・・・etc. 他の医療機関では滅多に診ることのない重症患者さんが次々と搬送されてくる様子は、ドラマよりドラマティック。症例の多さもさることながら、そこで的確な所見をとり、次につなげていく救命医の迅速な判断力、行動力の高さに圧倒されました。
3ヶ月後に研修のローテーション期間が終わりを迎えたときは、「帰りたくない、もっとここで学びたかった」と思いました。それと同時に、短い期間に多くのことを学べたという手ごたえも感じていました。その日身につけたことが次の日には臨床で使えるのが面白くて、学生時代とは比べ物にならないほど勉強が好きになりましたね(笑)。図鑑で動物を見るのと動物園で動物を見るのとが違うように、臨床の現場で見た症例はビジョンごと記憶されるので、決して忘れることがありません。

あきらめない気持ちで攻めの医療を実践中!

pic_matsuda2念願かなって、2012年4月に入局してから半年以上が過ぎました。もちろん、経験豊富な先輩の皆さんに比べれば未熟なところが多いでしょうが、私は「目の前で亡くなろうとしている命を救いたい」という気持ちの強さが人一倍強いですし、どんなに困難な状況に立ち合っても、「しょうがない」と諦めず、「なんでや?」と考え、「なんとかならんか!?」と手を尽くす攻めの医療を実践しているつもりです。
ときには精神的に辛いこともあります。自分より若い患者さんが事故で重症を負い、一命をとり止めて快方に向かっていたにもかかわらず、急変して亡くなったときは、さすがにへこみました。でも直ぐに、「次こそ、絶対に助けるんだ。」という気持ちが湧いてきて、それが戦い続ける原動力になっています。学生時代から剣道を続けて体を鍛えてきたので体力面は大丈夫。と言いつつ、病院を出るとぐったりしている日も多いですが、気力が充実しているから平気です。


救急専門医としてのプラスアルファを持ちたい

先輩の先生方は、救急生え抜きの方も各専門科から来られた方もおられます。優秀な先生方のサポートを受けながら経験が積める環境は本当にありがたいですね。
これまでは、専門科を経ることなく救命救急に入ったことを自分の強みと捉え、特定の分野に偏ることなく、広い視野から症例にアプローチするよう心がけてきました。生死のボーダーラインで頑張っている方を安定化するまで持っていく初療、集中治療について、もっと経験を積むことができたら、次は外傷外科やドクターヘリなどのプレホスピタル(病院前救急)についても学んでみたいと思っています。
救命の仕事は心身ともに厳しいですが、分の悪いところからひっくり返してやるぞ! という熱い情熱を持っている若い力は、いつでも大歓迎ですよ。