肩揉み

こちらでお世話になり、早いものでもう9ヶ月になる。こどものおいしゃさんとして十数年生きてきたため、いきなりのおとなのおいしゃさんには戸惑うばかりの日々だったのだ。

こう見えて意外に臆病者なので、内心はビクビクしながら医局の片隅で子犬の様に震えて過ごしていたのだけれども、そんな時に「どう?楽しい?頑張ってなぁ。それから、辞めんといてなぁ(笑)」と肩揉みしながら話しかけてくれるジョージ先生に、肩だけでなく心も解してもらってたなぁ・・・なんて振り返る今日この頃。

 

今ここで一緒に働いてくれている研修医さんたちは、あと2週間で救命センターでの研修を卒業する。彼らはおいしゃさんになってすぐの産毛も生えてないひな鳥状態で、いきなり最重症の患者さんを診るという現場の最前線に立たされることになったわけだ。初めは“ピーピー”と親鳥の姿を探して鳴いてばかりだったのだけれども、今となっては状態を評価し、それに見合った治療方針を決め実行し、それに対して評価して・・・を、彼らなりに自分たちで実行できるようになっている。おいしゃさんになってわずか2ヶ月なのに、中心静脈ルート確保だの気管切開だのをできるようにもなった・・・若いって素晴らしい。

教えてあげることができたのは、ほんの少しだけ。でも彼らはそれ以上の成果を挙げ、大きく歩み始めた。産毛どころか、その羽は黄色を帯びてきたぞ。頼りなくて本当に申し訳なかったかもだけど・・・お兄ちゃんは素直に嬉しいよ。

 

振り返ってみれば、彼らの肩を揉んであげたこと無いなぁ。2年目でまた研修しに来てくれたら、してあげてもいいかな(笑)。あっ。代わりにジョージ先生に肩揉みしてもらおうか。意外に気持ちいいのよこれがまた。