あいさつ

小谷あいさつ画像兵庫医科大学救急・災害医学講座および救命救急センターのホームページにお越し下さり、ありがとうございます。私は2009年4月に本学救急・災害医学講座教授および救命救急センター長を拝命致しました新人教授です。どうぞよろしくお願いいたします。

 

当センターは阪神・丹波地区(184万人)の救急医療を担っており、集約的治療、緊急治療を必要とする重症症例を年間約1、000例受け入れ、他科への振り分け、外来処置、電話での相談や特定行為指示などを合わせると約2,500例を扱っています。独立したICUと一般病棟(計30床)を持ち、医局員は外科、消化器、循環器、脳外科、小児、集中治療など様々なスペシャリティーを持ち、全科との良好な関係のもとに多科に渡る複合疾患の重症例をセンターで治療します。外傷および内因性疾患の緊急手術や緊急内視鏡・止血はもっぱら当センターで行い、産婦人科、眼科、脳・呼吸器・循環器・形成外科などの緊急手術症例も各担当科の協力のもとにまず当センターで受け入れ、全身状態を整えてから手術室へ送り、症例によっては術後管理も行っています。
 
本学は災害拠点病院であり、その中核をなす当センターは院内外災害訓練を積極的に推進しています。2005年のJR脱線事故では、日本の都市の大災害で初めて現場および病院トリアージを行い113名もの被災者を受け入れ、本学と地域に災害医療の文化が成熟した証を示すことができました。また、本学は2個のDMATチームを擁していますが、センターには多くのDMAT登録医師および看護師が所属し、正規訓練に加えて武庫川河川での自主訓練などを行っています(クラブ活動のようないい雰囲気です)。

Off the job訓練では、多くの教室員がJATEC, ICLS, BLC, ACLS、ISLSなど多くの救急・災害医療関連の訓練コースのインストラクター資格を持っており、本学でのコース開催も行ってきました。また、栄養管理医師の資格であるTNT(Total Nutrition Therapy)資格を持つ教室員が3名おり、センター内の重症病態における代謝・栄養管理を科学的に推進すると同時に、大学病院全体の栄養サポートチームのメンバーとして院内全患者の代謝・栄養管理に活躍しています。
 
研究では、急性膵炎下のIL-18の臓器保護作用、敗血症下の骨髄幼弱好中球のアポトーシスの機序とその性差、短鎖脂肪酸やn-3系多価不飽和脂肪酸(魚油)など特殊栄養素による免疫担当細胞のアポトーシス制御とその臨床応用、膵・肝の外傷手術、急性膵炎の集中治療と手術法、敗血症における酸化ストレスとミトコンドリア機能傷害、放送メディアを用いた市民に対するAEDの普及啓発、全国のプロ野球本拠地球場における実態調査研究に基づく本邦のMass Gathering 医療の体制構築など、幅広い基礎・臨床的研究をテーマに、国内学会はもとより、アメリカ外科学会(ACS)、アメリカ集中治療医学会(SICM)、アメリカ及び国際ショック学会、アメリカ外傷外科学会(AAST)、国際外傷学会、アメリカ外科感染症学会(SIS)、国際外科学会(ISW)、ヨーロッパ蘇生協会(ERC)、アメリカ心臓協会(AHA)など、多くの国際学会でも積極的に発表しています。
このように当科は大学病院でありながら独立型の救命救急センターの形態を取り、細分化が進む医療の中にあって、
  • General physician & surgeonのスペシャリストを育てる「教育」
  • 実経験に基づく実践的な「災害医療」
  • 救急・侵襲学と災害医学の基礎から臨床にわたる国際レベルの「研究」
を3本柱として新しい医局の構築に邁進しております。
本学は阪神電車武庫川駅前にあり、大阪梅田・難波、神戸三宮まで13分~20分の交通至便なところにあります。また、甲子園球場までは歩いて行けるという虎ファンには涙もののロケーションです(もちろんアンチ虎党にも便利です)。東西には西芦屋から尼崎まで、北は過疎地を含む丹波篠山方面まで、異なった地域性を持つ広い診療圏を受け持っており、非常に多彩な症例が多く搬送されます。救急・災害医学の臨床と研究を勉強したいと考えている医学生、研修医、他科の先生方におかれましては、あらゆる救急および集中治療のご研鑽を積んでいただけると思います。ご希望の方はどのようなご相談でも結構ですので、お気軽にご連絡ください。