山田 勇 医師

img_yamada

消化器外科医となって20年。体力的にはまだまだ余裕があるものの、成長著しい後進の先生の活躍を見るにあたり、大学病院で自分が果たすべき仕事は既に少なくなってきているとの感を抱くようになっていました。そんな時に所属していた外科医局の教授を通じて医局の先輩である小谷先生にご縁をいただき、救命救急センターに赴任させていただく事になりました。若い先生たちに、医療技術や知識はいうまでもありませんが、個人で出来ることの限界を知り現場スタッフや院内他科の医師との連携、ひいては地域の医療施設をも含めたチーム医療の重要性を伝えることができればと思っています。

求められた事に応える事が医療の原点

特別な思いや経験があって医師を志した訳ではありませんが、生きる糧つまりは職業として医師を選んだのではなく“生き方としての医師”を選んだつもりです。どこかで助けを求める患者さんがいれば、どんな時でも手を差し伸べ、ともに病気と闘うことが医師の務めではないかと思います。
この年になっても未だに患者さんが求められた事に応えられる医師になれたかどうかは自分ではわかりませんが、少しでも自分に出来る事があるなら、自分を必要としてくれる場所があるならそれに応えたいという気持ちがあります。そんななか、医局教授から推薦を頂き外科医として新たに救命救急センターへの赴任はありがたい話でした。
また、赴任にともない過去の業績をあらためて整理するなかで、今まで自分自身が気づかぬうちにどれほど医局や周囲の先生方やスタッフに助けられ支えてきて頂いた事を再認識する事も出来ました。

個人の能力の限界を知るからこそチーム医療の重要性に気付く

pic_yamada誰でも医師になったばかりの頃は自分の知識拡充や技術獲得に熱心で、より大きな施設より良い環境で自身の力を試してみたいと思うものです。それ自体は決して悪い事ではないとは思いますが、大学病院などで行う高度医療と診療所などで行うプライマリーケアなどの医療は、その内容は違えどいずれも等しく価値がある仕事であり、また高度医療は個人の能力だけで支えられているものでは決して無い事に気づく必要があります。個人の能力にはある程度の限界があり、また個人の能力を活かすためには周囲のサポートが重要です。
専門性が進んだ現代高度医療においてはなおさらです。患者さんを救命する現場においても直接的な医療行為がすべてではなく、救急搬送までの情報の集約、予想される処置の準備、医療スタッフへの指示、他科の医師との連携など間接的な仕事が重要なことも多いはずです。切磋琢磨にて自分の実力を磨く事も大切ですが、他者を活かす事やチームマネージメントの大切さも若い医師達にはこれから学んでほしいと思います。
救急医療には体力勝負という面も確かにあり若い医師達の情熱に負うところが多いのですが、“ものの考え方”においては若さや勢いだけでは危うい事もあります。いまだ道半ばの自分ではありますが、何かしら助言することで医療チームにより良い方向性をもたせる事が出来ればとも考えています。