藤﨑 宣友 医師

医師となって今年で10年目。フリーランスを経て、大学病院という教育機関を新たな職場として選んだのは、これが学術的なことに打ち込める最後のチャンスではないかと考えたからです。特にICUや栄養の分野に興味があるので、さまざまな症例に当たって自分の“引き出し”を増やし、臨床に役立てるとともに自己実現をしたいと思っています。

――麻酔のエキスパート集団に加わるべく広島で修業

私は、マッチングによって研修したい大学・病院を選ぶ新・医師臨床研修制度の一期生です。もともと「医師になりたい!」とか「何科のエキスパートを目指すぞ」といった大志はなく、就職活動に励む同級生を尻目に、「何か面白い事ができないかなぁ」なんて考えているような状態でした。
初期研修が終わりに差し掛かかった頃、ようやく麻酔科を志す事に決め上司に相談したところ広島の病院を突然打診されました。西日本は全くの初めて、興味本位でお話を受諾し後期研修は広島の市中病院で行う事となりました。そこでの研修は大変でしたが、今あるのもそこでの経験が礎になっている事は間違いありません。主に麻酔と集中治療に携わり臨床経験を積みました。

 

――中堅医師として“学術”に挑むラストチャンス!?

pic_fujisakiその後の4年間は、広島で手術後の患者さんの集中治療を行っていた経験を生かしながら、救急や集中治療にも携わる麻酔科医として主に千葉県にある市中病院を中心に雑多に働いていました。
しかし、仕事に慣れてくるに連れ、普段の忙しさにかまけて日々ルーチンワークを続けているだけになってしまっているのではないかという疑問が沸いてくるようになりました。そこで芽生えたのが、「もう一度、ちゃんと勉強をしておきたい」という思いです。これまで、論文を書いたり学会で発表したりといった学術活動は必要最低限しかやらずに過ごしてきましたし、必要性はわかっていながらも英語の勉強は後回しになっていました。同世代の人からは「今さら?」と言われますが、挑戦せずに諦めるのも自分の性格に合いません。こんな経歴の中堅医師に学びの場を与えてくれる職場があるのなら、最後のチャンスに賭けてみたいと思いました。

 

――フリー、留学、大学病院という環境変化にも慣れて・・・

千葉の病院でお世話になった先生のオーベンが小谷先生だったご縁から、2013年の2月にお話しする時間をいただきました。とてもフランクな方で、3月に兵庫まで見学に来るよう誘ってくれ、就職についても「その気になったら、2ヶ月前に教えてくれればいいから」と言ってくださいました。実は、ほぼほぼ決めていた病院が別にあったのに、兵庫医大病院を選んだのは・・・自分のニーズとフィーリングが合ったから、としか説明できません。根無し草のような自分を受け入れてくれる職場があることに感謝しています。
入局前にしたいことは全部しておこうと妻と子ども2人を伴っての語学留学を敢行。上達は微々たるものでしたが、バカンスの時間もとれたので、家族サービスにもなったかなと思っています。10月に入局してからは仕事のサイクルに慣れるのに必死でした。でも、カラーが違う医師が多勢いる環境は、これまでの環境とは全く違い私にとって刺激的で面白いですね。職場の雰囲気の良さに助けられて働くうち、不思議と体のほうも環境に馴染んでくるもので、拘束時間が長くてもかなり平気になってきました。

 

――新しい引き出しを増やして自己実現を!

pic_fujisaki2臨床経験は3年を一区切りに考えてきました。学術経験もまずは3〜5年を目処に、自分の能力や可能性をある程度は見極めるつもりです。分野としては、救急から回ってきた患者に対する集中医療に加え、体外循環、臨床栄養に関心を持っています。とくにここでは栄養治療に詳しい小谷先生が教育コースやICUのNST立ち上げを行っていますので、よい環境です。救命救急の仕事では、麻酔科医としての経験や知識を生かすシチュエーションがあればいいかぁと思う一方、普段の仕事で麻酔科医としてのアイデンティティをことさらに意識することはないですね。むしろ、新しいことに接して自分の引き出しを増やしていきたい。それが臨床に役立つこともあるでしょうし、自己実現になればと思っています。