研究

学位取得と、“自由発想、自由発言”、“知の解放、再発見、そして遊び”

私どもの目指す研究は、臨床経験での疑問点を分子レベルにまで深く落とし込む追究作業、と言っても過言ではありません。一例ですが、「どうしても敗血症を治したい、そのためには、早期治療介入が必要である→その手がかりを知るマーカーは何か→乳酸値!→ミトコンドリア機能に注目→傷害メカニズムを確かめたい!」と大まかではありますが、その着想経緯を示してみました。これは、私の実際の研究テーマでした。この基礎研究経験は現在の思考経路において、ミトコンドリア経由で臨床に帰還、対峙し、理論的な思考の構築に多いに役立っております。このように、研究とは、深く掘り下げて、再び、臨床に貢献できるものであってほしい、というのが私たちの大きな信念であります。そこに立脚し、研究室を医局内に設置し、常に臨床経由で研究室にアイデア、疑問、検体を持ち込める環境を整備し、逆に、研究スタッフが臨床現場に赴き、アイデア、疑問を投げかける定期的なラボミーティングも盛況に開催され、そこには、役職も年齢も関係なく“自由発想”、“自由発言”を合言葉に、皆で実際の臨床に照らし合わせながら、たんぱく質のシグナル経路を模索する、と言った、なんとも病態解剖さながらの“知の解放・再発見、そして遊び”を実践しています。
研究テーマに関しましては、ミトコンドリア機能メカニズムをはじめ、ヒト敗血症好中球、マウス敗血症CLPモデル、LPSモデルなどを用いた好中球機能、NETs形成メカニズム、アドレナリンレセプター機能メカニズム、アポトーシス、ラジカルスカベンジャーを用いた酸化ストレス傷害メカニズムなど、多方面にわたり解明を試みています。
何度も強調致しますが、私どものスタッフは知に飢えています。しかしながら、そのスタッフたちは、年齢的、環境的に断念せざるを得なかった留学への道をなんとか後継者に託したい一心で、その経済支援や学位取得のための環境を整備し実践に結びつけています。私たちの原動力は後継者の育成です。最高の後継者のために全力を注ぎます。そんな気持ち、夢をベンチでピペット操作をともに行い、PCRや培養の間に熱く語りたい、と思っています。

以下に代表的な業績を列挙します。

  1. ラット腹膜炎モデルでミトコンドリアDNA傷害によりATP産生が低下する。
    S.,Association of between ATP production and oxidantive mtDNA damage through mitochondrial respiratory chain in rat CLP heart injury model. Intensive Care and Emergency Medicine., 3.18-21.2008
  1. ミトコンドリア機能傷害は、特に呼吸鎖のcomplex2が傷害されることにより誘導される。
    Oxidative Mitochondrial DNA Damage is Associated With Injury of Respiratory Chains, Especially Complex2 During Sepsis-induced Myocardial Dysfunction   American Heart Association, Resuscitation symposium2009: Best original scientist award
  1. 敗血症性心筋症におけるミトコンドリアDNA傷害は、異なる修復酵素が段階的に作用する。
    第27回日本ショック学会会長賞)
  1. ラット腹膜炎横隔膜障害モデルにおけるH2O2/O2-radicalのミトコンドリアDNA障害と修復機序(第30回日本呼吸療法医学会会長賞)
  2. Increased levels of circulating 8-oxodeoxyguanosine as a biomarker of sepsis severity in mice, Journal of Intensive Care.,2,41.2014 (Epub, 5 pages)(第40回日本集中治療医学会会長賞)
  3. Scavengers prevent lung injury but do not improve the survival during sepsis in rats. Critical Care. 24th International Symposium on Intensive Care and Emergency Medicine Brussels, Belgium, 30 March – 2 April 2004
  4. The effect(s) of free radical scavengers on a late hypodynamic phase sepsis-induced cardiac dysfunction in rat. 30th Annual conference on shock Baltimore, Maryland USA June 9-12, 2007
  5. Association between ATP production and oxidative mtDNA damage through mitochondrial respiratory chain in the rat caecal ligation and puncture heart injury model. Critical Care. 28th International Symposium on Intensive Care and Emergency Medicine Brussels, Belgium, 18–21 March 2008
  6. Oxidant/Antioxidant Treatment Influences Pulmonary DNA Through MTH1 Modifications in Sepsis-Induced.Society of Critical Care Medicine. 46th Critical Care Congress Honolulu,Hawaii January 21-25,2017
  7. OGG1 and TFAM Modifications of Mitochondrial DNA Damage in Septic Cardiac Dysfunction. Society of Critical Care Medicine. 46th Critical Care Congress Honolulu,Hawaii January 21-25,2017
  8. Correlation of Circulating 8-Oxodeoxyguanosine with the Severity of Septic Organ Damage. Society of Critical Care Medicine. 46th Critical Care Congress Honolulu,Hawaii January 21-25,2017